be in (on) the secret : 

 (やや古風) 秘密を知っている仲間















K E E P  S E C R E T












放課後の音楽室には、吹奏楽部という特権を利用していつも居座っている少女と
いつも部活の前にそこに顔を出す少年がいるという。


これにはそれぞれ理由がある。


少女―― 、はテニス部部長で生徒会長の手塚国光に片想いをしていて
グラウンドとテニスコートが一望できるここの窓から彼を見ている。

少年―― 僕、不二周助はひょんなことから彼女の想いを知って
それからなぜか陰で後押ししている。



そしてこの同盟のような秘密結社のようなよくわからない関係も、始まって半年以上が経とうとしている。











「どう?これ小説にしたら売れそうじゃない?」
「・・・売れないと思う」


いつも通りの放課後。
思いつきで言ってみた、少しくだらない話にが顔を苦くした。
だけど全部本当のことだ。






僕らは、秘密を知っている仲間。
彼女の想いを知ってる、たった2人の。


だからこれは守らなきゃいけない。

君の恋が叶うその時まで。










「そう言えば、この間手塚に訊かれたよ」
「何を?」
「お前はいつも部活の前に音楽室で何してるんだ、って」
「それで、なんて答えたの?」


「I'm in on the secret.」


僕は秘密を知ってる仲間だからって。


そう言ったら、手塚は思いっきり間の抜けた顔をした。
それはそうだよね。全く答えになってなかったんから。

でも僕は、本当のことを言ったまで。




「あの時のあの表情は滅多に見れたものじゃないよ。いいもの見たかも」
「・・・・・・」



くすくす笑う僕には頭を抱えこんでしまった。






僕は君の仲間。
だから早く成就してほしいとも思う、けど
君たちの行方を見てるのは楽しいから、このまま傍観者になって見ていたいとも思う。



だけどもうしばらくは、秘密を守りつつ後押しをする方向で。





まだまだ、この片恋は終わらない。