※Notice※ この話はLong Timeのサイドストーリー的なものになります。 この話たちはもっと具体的に書きたかったのですが、管理人の力不足でこんな形になってしまいました。 手塚を想うヒロインを、乾と不二が想っていた、という設定。 ヒロインが想いを伝えられずに手塚が旅立ってしまった後の話・・・と思ってください。 彼らサイドのお話です。 それでは、読んでみようかという方は下へどうぞ・・・。 |
Long Time ― I & F side ― 「なあ、不二」 「なに?乾」 放課後の誰もいない図書室で、乾が遠く窓の外を眺めながら呟いた。 「真実を知っていて、黙っていたのは罪だったのかな」 射し込む夕陽が、静かな空間に影を落とす。 「さぁ・・・どうかな」 同じ真実を共有している僕らは 何とも言いようのない感覚を持て余している 知っていたという罪の意識? どのみち僕らは知りすぎてしまっているから、八方ふさがりだ。 「あのまま遠ざけるくらいなら、言っておけば良かったかな・・・」 手塚を想っていた、彼女。 そして手塚もまた、彼女を想っていた。それなのに。 「怖くて、伝えられなかったんだって」 あの日、手塚が旅立った、雪の降る日。 声を殺して泣く彼女を、僕らはただ見守るしかできなかった。 想いを伝えられなかった彼女。 彼女を想っていた、手塚。 それは僕らも同じ。 僕らは、この恋が叶わない恋だと知っていた。 だから何も望まなかった。 彼女の幸せ以外は、何も。 「でもね、乾」 「僕はね、僕らが余計なことをしなくて良かったと思ってるんだ」 口に出さなければ、『知らない』ことと同じだから。 だから真実に口を閉ざすことで、”自分たちの想い”を隠し通してきた。 「言わないことで、僕らは自分たちと、あの2人を守ってたんだよ」 例えそれが、『すべてを壊したくなかった』というただのエゴだったとしても。 それでも僕は、そう信じたい。 「・・・そうだな」 そう言ってお互いに微笑んでみせるけど、上手く形にならないのはどうしてだろう。 そうして不器用な僕らの一方通行な想いたちは 長い長い片想いへと、続いていく。 |